「私の子育て」Yくん

いちご組、Yの母です。

 去年の8月に東部療育センターにて注意欠如の多動症プラスASD傾向と診断を受けた現在6歳の男の子です。

 Yは、私達夫婦にとって待望の第一子でした。そのわけは、前に一度妊娠しましたが、早期流産をし、その後はなかなか妊娠できず、不妊治療を行っていました。しかしそれでもできず、治療を続けることが心身ともに疲れ、治療を断念しました。と思ったら、その後すぐに自然に妊娠することができ、その後経過は順調、無事に出産することが出来ました。  

妊娠・出産することの大変さ、長い月日が経った分、産声をあげたあの瞬間は、私達夫婦にとってかけがえのない喜びで、Yの顔を見るたび自分の幸せを実感したのを今でも覚えています。

 その後の成長も心身共に健やかで、首すわり、寝返り、這い這い、つかまり立ち、歩きはじめは9か月、言葉が出てきたのも早く、ハイペースに成長していきました。そんな姿に親バカな私たちは赤ちゃん競争があったらYは絶対チャンピオンだね、なんて冗談を言っていた程、順調な成長でした。性格は好奇心旺盛で、やんちゃ坊主、人懐こい明るく元気いっぱいの子でした。

Yが1歳になる前に私は仕事に復帰、愛しいYと離れるのが辛く泣く泣く保育室に預け、仕事と育児の両立がはじまりました。

 私の心配をよそに、Yは私に後追いもせず、すぐに先生に慣れ、集団生活も問題なく過ごしてくれました。保育室でもやんちゃ坊主で、元気いっぱいだったので、何度か先生に人一倍手がかかりませんか?座っていなければいけない時間に一人だけ動き回っていませんか?と伺ったこともありましたが、先生たちは特に問題なく、みんなと同じように過ごしているのでご心配なくとおっしゃってくれました。

2歳2か月、私が第2子を妊娠、また妊娠するのに時間がかかるだろうと、早めに計画したら、予想外にもすぐに妊娠。少し時期が早かったかと心配になりましたし、仕事をしていた分もう少し手をかけてあげられたらよかったと思ったりしました。

2歳半過ぎ、私のお腹が大きくなってきたころ、Yの自我が強くなり、その時は妊娠したことが影響でYの行動が変化したのかと思ったりしましたが、以前より自分の思うように子育てがうまくいかず不安を感じることが度々起こるようになりました。

Yの好奇心が更にまして、あちこちに興味が散漫し、追い掛け回すのが大変だったり、いつも自分に気を掛けてもらわないと気がすまなかったり、自分の話したいときに、話したいことをすぐに聞いてもらえないと怒ったり。

ある時はバスに乗っていた時のことです。妊婦の私に席をゆずっていただいたのですが、Yは自分よりママ?ママのお腹を??にゆずられたことが気にいらず「ママじゃなくてY君が座りたい!」と怒ったりもしました。そして周りの方から「そろそろ2人目ね~!」とか「お兄ちゃんになるのね~!」と言われると「お兄ちゃんじゃない」「お兄ちゃんなんかになりたくない」と怒ったり、お友達にも攻撃的な行動が見られました。

 妊娠中からこのような行動だと、出産したらどうなるのやらと心配していましたが、意外にも出産後の方が少し穏やかになり、お兄ちゃんらしくなった感じでした。私も出産前に仕事を辞めました。

ちょうど3歳児健康診断、特に成長の遅れはなかったのですが、私が落ち着きのなさや、育児の難しさを相談したところ、後日保健所で行われる親子での遊びの会を紹介してもらいました。その遊びの会では、毎回子育てに悩みをかかえた10組程の親子さんがいて、家庭で過ごしている時には見ることの出来ない集団での我が子の様子をじっくりと観察することが出来ました。Yは保育室で集団生活を送っていて、特に問題なく過ごしているとのことでしたが、その遊びの会では私と一緒だからなのか、甘えとわがままが出てしまい、椅子に座っていられず、パネルシアターや手遊びの最中に立ち上がってしまったり、集団遊びでのルールのある遊びでも、順番が守れなかったり、他の子が使っているおもちゃを欲しがり、横取りをしたり、攻撃的な面も見られました。

そろそろ幼稚園のことも考えなければいけない年齢です。集団生活がスムーズに送れるかとても心配になってきました。少しでも集団生活の場に慣れて欲しいという気持ちと、幼稚園の様子も見学ができるので、いろいろな園の未就園児の会に足を運びました。そしてそこでの出来事が私の子育てに衝撃を与え、親子教室に行くきっかけにもなりました。

それは自宅近くの区立幼稚園でのこと、参加するとそこの卒園児の先輩ママが3~4名程サポートとしていて、その中の一人のサポートママさんがベテランのようで毎回いつも私に話しかけてくれ、次男坊の面倒も見てくれました。しかし、最初の時から少し上から目線の話し方でその方の子育ての話をきくところさぞかし子育ても上手にされた様子で、小学生になったお子さん達も、とても素直でお利口さんのようでした。なので、その方はYの落ち着きのなさや、私とYの関わり方が気になったようで、いつも厳しい視線で行動を観察されました。その方から、2歳3歳頃からきちんと厳しく躾けなきゃダメよ!いつもそんなに優しい口調で言い聞かせてるの?駄目なものは駄目と強く言わなきゃと言われたりしました。

家では細かい事でもきちんと言い聞かせ、もちろん厳しく躾けることもあります。それが思い通りにいかなくでイライラしてしまうこともあったので、外に出た時くらいはYと楽しい一時が過ごしたい、気分転換したい、いつも注意してばかりではYも可哀想だと思って、Yに対しても自分にもその場では甘やかしていました。

その日の出来事は、おもちゃで遊んでいたYがそのおもちゃを片付けないまま、他のところに行こうとしたとき「私と片付けてから行こう」と言ったのですが、聞かずに行ってしまった時、そのサポートの方はすぐYのところに行き、厳しい口調で「片付けてから!」と言って、手を引いてやり直させていました。

別の日は先生とサポートの方が紙芝居を読んでくれる時間、Yは少し落ち着いて仲良しのお友達と一緒に座って見ていました。私も少しほっとしてお母さん同士で見ていましたが、そのサポートの方が私にむかってYを指さし、「しかめっ面で!「ふん!」とする感じ!」Yが友達の顔に触ってお互いにじゃれ合っている様子でした。そのお母さんに聞いても「子ども同士で楽しんでいるだけじゃない」「大した事じゃないのになんで!」私も友達ママも驚くほどでした。毎回ここへ来ると私だけ?子育て指導を受けているかのようで、まさに注意を受けている生徒のようにいつも緊張でいっぱいでした。

その次の出来事は、Yと粘土遊びをしていたところ、お隣の親子が亀を作っている会話を聞いたとたん、Yは丸めた粘土を手に持ったまま走り出し、園で飼育している亀の所に行き、いつも触っている様に指でツンツン!私は次男坊を抱っこしていたので一歩遅れ、すかさずその方がYを注意しました。何度もその方に注意を受けているので、Yも素直に謝れず逃げ出そうする状況になりました。Yが持っている粘土を食べさせようと思った訳ではないのですが誤解を受け「粘土を入れたら、亀が死んじゃうかもしれないでしょ?そしたらY君責任とれる?死んじゃったら生きかえんないよ!」と言われました。私も粘土を入れようとした訳ではないと事情を話しましたが「粘土の手で触った」「すぐに水を入れ替えましょう」と迷惑をかけてしまい、、、「何かあったらきちんと責任を取ります」と謝りました。

その方が「私、今、厳しく言ったけど、お母さんも自分の子どもを犯罪者に育てたくないでしょ?」「これが亀だったからまだよかったけど、人間だったら・・・」それを言われた時ショックで涙が出そうになるのを必死にこらえるのが精いっぱいでした。

だって、どんな母親でも犯罪者にさせたくで育ててるんじゃない!そんなにYは悪い子なの?心の中では言いたいことでいっぱいだった。それを今、口にしたら、泣きじゃくって言葉にならない状態になるのがわかった。すぐにでもYを連れてこの場から逃げ出したいと思いましたが、会が終わる最後に「私は子育てするのは初めてですが、これでも10年間保育士をして子どもの気持ちは少しはわかっているはずなんですが」と話したところ「自分の子は人の子と違って責任があるから~」と言われ、まったく言い訳の種にもなりませんでした。最初から最後まで私とYはその方から認められることなく、子育ての自信をズタズタにされることしかなかった場所でした。

フラフラになって帰宅、自宅に着いた途端我慢していた涙が溢れ、Yを抱えて泣きじゃくりました。子どもが大好きで、保育士の仕事は私にとって天職だと思って仕事をしてきました。なので、我が子を産んで人一倍気合が入り、子育ては充実し、楽しいものだと思い、1歳2歳まで一心に頑張ってきました。

しかし、年齢的なものもありますが、段々とそうはいかなくなり、自分の思い通りに育てられなくなり、Yの将来を考え、きちんと責任をもって育てていかなければならないと感じていました。

しかし、その方が言った数々の出来事がきっかけで、子育てへの自信と意欲がガタガタと崩れ落ちました。今まで私がしてきたことに間違った子育てや生活で、Yが言うことを聞かなくなり、落ち着きがなくなったんだと思うようになりました。

Yと関わることに全く自信がなくなりYをダメにしてしまう私が子育てしていいのか考えるようになりました。

主人に今まであった出来事を相談し、どうやって子育てしていいのかわからない!もう外にも出たくない!と訴えました。主人はYが生まれてから今まで何心配することなく私に子育てを任せてきたし私がYを大事に思う気持ちが十分伝わってくるから心配していなかった。全然間違った子育てなんてしてないから、今のままで十分だと言ってくれました。

「思い通りにいかないのはYの個性だから」「Yは将来大物になる要素のあるやつだ」と言われ、私もその日は少し落ち着いたのですが、しばらくは外出が嫌になり、イライラしてYに対して急に厳しくしたり、大声で叱ったり、時には手をあげてしまうこともありました。きっとYもあの時の私の変化にびっくりしていたでしょう。

ちょうどその頃、保健所からの言葉の相談の空きが出たとの連絡があり、最近のYの様子も聞かれました。今悩んでいることや、園であった出来事を話したら、親子教室を紹介してもらい、3歳7カ月に親子教室に入室しました。

A先生、他の先生方もとても優しく、一緒のお母さん方も子育てで悩んでいるとは思えないほど素敵な人ばかりで、子どもと一緒にいる時間をとても楽しんでいる様子でした。

心理士のK先生にも相談したら「みんな自信をもって子育てしていないから大丈夫。今まですごく頑張ってきたわよ~」と励ましてくれ、すごく気持ちが楽になりました。

教室に何度か通ううちに、私もすっかり元気になり、もう一度Yと楽しく、笑顔で毎日を過ごしたいと思えるようになりました。

ずっと保育士をしてきたから子育ても問題なく出来て当たり前と自分にプレッシャーをかけ、周りからも家族にも「子育ては心配ない」「安心だ」と言われ、ずっと気を張ってきたけれど、子どもを産んで、育てていくことは初心者です。今はすっかり自分自身捨て去って、欲はあまりかかず、のんびりゆっくりと成長を見守っていければと思っています。

現在のYは幼稚園には行きたくないけど、親子教室なら行くといい、Yにとって落ち着ける場所は親子教室なのでしょう。本人も幼稚園では出来る限りお利口にしようと頑張っているようで、その反動で帰ってくると私のいうことを聞かず、自分勝手な行動が多くなります。親子教室は楽しくて、興奮気味の状態になることが多いようです。性格は相変わらず活発で、運動神経が良く足が速い、小さな頃から水に全く抵抗がなく、現在もスイミングをつづけ、背泳ぎクロールの練習をしています。高いところに登るのが好きで木登りはまだしも、あちこち登ってはいけないところまで登りたがります。自分の思いが強く、衝動的に行動してしまうことが多いので「駄目よ!」と言われるとますます興味を持ってしまい、行動をストップ出来ないところがある、一番が好きで目立ちたがり屋、友達の遊びも自分が中心でいたい、写真を撮るときは必ず真ん中で目立つポーズを決め、更にポーズの仕方までみんなに提案し、団結しようとする。走ることに自信のあるYは運動会のリレー練習中に、お母さん達から声援を受けると走りながら格好つけたポーズをとって目立とうとする、人懐こく、人見知り知らず、子ども大人関係なくフレンドリーに声を掛け、多くは自分の事や思いばかり話すしつこ過ぎるので、おとなしい女の子はびっくりし煙たい様子である、頂戴貸してが多く、例えるとドラえもんに出てくるジャイアンぽい性格、お前の物は俺の物的な傲慢さがある。

しかし、男の子からは人気者で友達がたくさんいる、そして今でいう肉食系男子で好きな女の子に猛突進!その女の子には他に好きな男の子がいることを知っていても引き下がることはなく、いつも側に行き、話しかけ自分をアピールし、自宅に帰ってからもその子に好きにされるにはどうしたらいいか考え、パパに相談していました。

しかも幼稚園の後、その子と遊びたくてその子のママに遊ぶ約束をお願いし、電話番号まで教えてほしいとお願いしていました。

こんな個性のある子なので、小学校に行っても谷あり山ありでいろいろありそうですが、親子共々焦らずゆっくりのんびりを合言葉に過ごしていきたいと思います。